血液透析は、1分間に150〜200mlの血液を体内から取り出し、体に溜まった余分な水分や老廃物を取り除いて体内に戻す治療法です。そのため、血液透析に必要な血液を取り出して戻すための経路が必要となります。この血液の経路をバスキュラーアクセスといいます。バスキュラーアクセスの種類には、
シャントと非シャントがあります。
シャントとは、近道とか、あるいはバイパスという意味で、手術によって動脈と静脈を皮下で繋ぎ合わせ、血液透析に必要な血液量が静脈に流れるようにしたものをいいます。初回のシャントでは、利き手では
無い方の手首や肘のあたりで作製することが一般的です。
自分の動脈と静脈を繋ぎ合わせたものを自己血管内シャントといいます。血管が細いなどの理由で自己血管でのシャント作製ができない場合には、人工血管を用いて動脈と静脈を繋ぎ合わせた人工血管内シャントを作製します。
血液透析患者の90%以上の方がこの内シャントを作製して血液透析を行っています。
手首付近の親指側で作製した内シャント | 手首付近の小指側で作製した内シャント |
前腕から上腕にかけてループ型に作製 | 手首付近から上腕にかけてJ型に作製 |
心臓の働きが悪い場合や動脈、静脈の血管が細いなどの理由から内シャントが作製できない場合には、非シャントのバスキュラーアクセスを選択します。代表的なものには、肘から上腕にかけての筋膜下にある上腕動脈を穿刺し易いように皮下に持ち上げる動脈表在化や、頸や足の付け根付近の静脈にカテーテルを留置する長期(カフ型)留置カテ―テルなどがあります。
上腕動脈表在化 | 長期(カフ型)留置カテーテル |
当シャントセンターでは、手術前に心臓超音波検査で心機能を評価してシャント作製の可否を決定し、血管超音波検査で血管の太さや走行などを確認した上で患者さまにあったバスキュラーアクセスを作製しています。
また、バスキュラーアクセスの作製だけでなく、シャント血管の狭窄や閉塞に対する血管内カテーテル治療を始め、静脈高血圧やスチール症候群などのバスキュラーアクセスに関連した合併症に対する治療も行っています。