岡崎メイツ腎・睡眠クリニック

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※この記事は医療従事者向けのクリニック紹介として別のWebに掲載されたものです。

透析と睡眠に特化し、高い専門性を発揮
透析患者さんの睡眠障害を治療しQOL向上と予後改善を目指しています。

1995年7月、静岡県磐田市で発足した医療法人社団三遠メディメイツ。
設立直後から積極的に施設を拡充し、現在までにクリニック7つ、メディカルフィットネス1つを運営する医療グループに発展し、主に透析医療と睡眠医療、加えて予防医療にも取り組んでいます。
岡崎メイツ腎・睡眠クリニックは法人内で最も新しいクリニックで、旧中部岡崎病院を合併・改称し2014年10月に開設されました。元病院ならではの広々とした空間を有効活用し、透析と睡眠に特化した医療で高い専門性を発揮しています。

当クリニックの概要

あらゆる睡眠障害に対応する総合睡眠医療センターと透析施設を併設

小池茂文理事長

 三遠メディメイツの法人名に使われている「メディメイツ」とは、「医療を通した仲間」を表す造語で、診療をする側、される側という立場を超えて話し合い、信頼関係をベースにより良い医療を実践することを目指す姿勢を示しています。理事長の小池茂文は、「私たちが目指すのは"思いやり溢れる地域共生医療"。施設・設備の充実はもちろん、そこで働くスタッフ一人ひとりが、患者さんの生命を守るという高い使命感を持ち、第一線で個々の能力を発揮することで、質の高い医療の提供に努めています」と、法人としての信条を語ります。

 三遠メディメイツが展開する7つのクリニックとは、透析施設である豊橋、豊川、磐田の3つのメイツクリニックと、睡眠障害治療施設である豊橋、岐阜、磐田の3つのメイツ睡眠クリニック、そして透析医療、睡眠医療を行っている岡崎メイツ腎・睡眠クリニックです。

 三遠メディメイツは、従来は主に豊橋市、豊川市などを含む東三河地区で活動していましたが、岡崎メイツ腎・睡眠クリニックの開設により西三河地区(岡崎市、豊田市、安城市などを含むエリア)にも進出しました。旧中部岡崎病院を2014年4月に合併、同年10月に名称変更し、2015年8月には全館リニューアルしました。同クリニックは入院病床19床を擁し、4床を入院透析に、15床を睡眠検査専用個室として活用しています。

 岡崎メイツ腎・睡眠クリニックの透析部門は慢性期維持透析専門で、血液透析とオンラインHDF(HemoDialysis Filtration:血液透析ろ過)を実施しています。 合併症対策全般に力を入れています。シャントのエコー検査、造影検査、PTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty:経皮的血管形成術)、などは院内で実施し、血管外科治療のみグループ施設である豊橋メイツクリニックに依頼しています。 ほかに「腎臓内科」を開設しており、保存期腎不全の管理や透析予防にも努めています。

 日本睡眠学会認定医や認定検査技師、アメリカ認定の睡眠認定検査技師(RPSGT)などの専門スタッフを充実させ、最新の機器を導入して検査と治療にあたっています。
また、透析患者の睡眠障害治療にも力を入れております。

 また、より習熟した技術や高い知識が求められる小児の睡眠障害についても早期の検査・治療に取り組み、実績を上げています。 「一般に日本の医療機関では小児の睡眠障害は小学校低学年くらいから始めるところが多いようですが、それでは遅い。 当法人では、治療の必要な症状があれば0歳でも行います。子どもの場合、睡眠障害が低身長、胸のへこみ、学力の低下、集中力の欠如などにつながることが知られています。 そうならないためにも早期の治療が必要なのです」と理事長は力説しています。

透析室

透析ベッド数は2フロア2室で72床
120名ほどの患者の透析ライフをサポート

寺尾英之臨床工学技士

 岡崎メイツ腎・睡眠クリニックは5階建てで、透析室は3階の第1透析室、4階の第2透析室の2つがあります。

 「透析ベッドは現在のところ2室合計72床、最大76床まで増床できるスペースがあります。室内はベッド間や通路に十分なスペースをとって、プライベート感を維持しつつ、スタッフからは室内全体が見渡せるレイアウトになっています。また、1フロアに1床ずつ個室を設けており、感染症や臨時カテーテル透析の患者さんに利用していただいています」と院長は語ります。

 また、透析室課長の吉川修一(看護師)は、「透析医療部門の目標は、患者さんに選ばれる透析室をつくりあげること。そのため患者さん個々の状態に添った医療を提供することを心がけています」と、現場の方針を語ります。

 臨床工学技士の寺尾英之によると、各フロアの透析装置のうち7台はオンラインHDF対応機種、3F透析室の11台、4F透析室の8台は全自動のオフライン対応機種。機械室にはRO水(逆浸透膜(RO膜)を利用し不純物を取り除いた水)を再利用するシステムが完備され、熱水消毒も導入しています。
 臨床工学技士が安全な透析医療を提供できるよう、医療機器の保守管理及び定期的にメンテナンスを行っています。また、透析液に菌がいないかチェックを行い、「清潔な透析液」を常に提供できるよう努めています。

 透析スケジュールは月水金が昼の部(9:00〜)と夜の部(17:00〜)の2クール、火木土は昼の部のみの1クール。透析部門の医師は院長含めて常勤医2名、非常勤医3名。回診は基本的に常勤医が行い、患者一人ひとりと向き合っています。看護師は2室それぞれ14名を配置。日勤帯は常時6名が勤務し、固定リーダー制でケアにあたっています。ほかに介護スタッフが各4名います。患者数は2015年10月現在120名ほどです。

 昼の部の場合は、9:00ちょうどから看護師と臨床工学技士により穿刺がスタート。穿刺時には担当者がその日の状態などを聞き、ポイントをカルテに記入します。医師はあらかじめ検査データなどをチェックし、10:00頃から始まる回診時にカルテの内容を確認し、さらにくわしく話を聞いたり、薬を処方したりと必要な対応を行うなど、3職種で連携しています。

 「当クリニックではいまも紙のカルテを活用しています。そこに皆でいろいろなことを書き込み、患者さんのベッドサイドに置いて情報を共有します。現場の仕事は各職種に任せて、自主的に、やりやすいように仕事をしてもらうようにしています」と院長がチーム医療の方針を語ります。

施設_透析室 施設_スタッフステーション
施設_機械室 施設_待合室1 施設_待合室2

透析医療の姿勢

スタッフのレベルアップで透析の質を向上
「心まで透析できる医療」を目指す

 こうした情報共有はさまざまな面で図られており、たとえばフットケアチームは看護師を中心に活動していますが、何か気がついたときには速やかに医師に診察依頼があり、診察した結果を共有してその後の管理に活かしています。チームによる足の観察はなるべく毎月実施しています。

 多職種が参加するカンファレンスは定期的ではないものの、必要に応じて開き、患者ごとに治療方針などを話し合ったりもしています。また、これも不定期ではありますが院内勉強会も実施しており、医師の講義と看護師や臨床工学技士の発表で構成しています。グループ施設と合同で勉強会を行うこともあります。スキルアップという意味では院外のセミナー、学会などへの参加を奨励し、費用などは法人が負担。参加後はレポートの提出を義務づけています。

 「精神面にもアプローチできるような医療を提供するためには、スタッフ一人ひとりが力をつけて、高度な医療を提供することが第一です。そのうえで患者さん個々のお人柄や生活環境、家族環境にまで配慮した、総合的な対応を実践しなければ」と院長。「時には笑いやユーモアも必要です。常に患者さんの立場に立って医療を提供できる透析室でありたいと思っています」とも穏やかに語ります。

睡眠医療との連携

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療で透析患者の血圧や血糖値が改善

鼻マスク

 冒頭で触れたように、岡崎メイツ腎・睡眠クリニックでは、透析医療と睡眠医療を2本柱としており、透析患者の睡眠障害治療にも力を入れています。院長は、「透析患者さんはかなりの比率で睡眠障害を合併しています。透析中に眠られる患者さんも多く、そういうときに私たち透析室のスタッフが睡眠障害に気づくこともよくあります。気になる患者さんには早めに検査を受けるようおすすめするなど、早期発見に努めています」と睡眠医療部門と連携する様子を紹介。検査を受けてほしい患者さんが見つかった場合は、透析室から1階の事務部門に電話でその旨を伝えます。するとすぐに事務担当者が手続きをし、患者さんは速やかに検査を受けられます。小回りのきくクリニックの利点です。

 開設から1年余りの段階で、すでに10名以上の透析患者にSAS(SleepApnea Syndrome:睡眠時無呼吸症候群)が見つかり、気管に一定の空気圧をかけることで無呼吸を予防するCPAP(Continuous PositiveAirway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法/シーパップ)療法を導入しました。

 「CPAP療法を受けておられる透析患者さんには、血圧が安定する、血糖値が改善するなどいくつかの効果が確認できています」と院長。 こうした専門的治療だけでなく、むずむず脚症候群(下肢静止不能症候群)など身体的な症状が睡眠障害につながっているケースに薬物治療で対応することもあります。専門家に頼るまでもなく、院長ら透析部門の医師が診断・治療を行います。

 さらに院長は、透析患者特有の症状である透析アミロイドーシスが睡眠障害に関係することも指摘「特に肩や手首、手指などにアミロイド線維が沈着すると、夜中にその部分が痛くなって眠れなくなってしまうことがあります。臥位だと痛く、座位だと痛みがやわらぐので起きてしまうのです。 むずむず足症候群や透析アミロイドーシスのように、単なる不眠ではなく、身体的症状が睡眠を阻害していることもあるので、患者さんが不眠などを訴えた場合には、そうした要因をしっかり見きわめることが大事です」と話します。

 今後も透析患者の睡眠状態に着目し、検査・治療を行うのと同時に、良質な睡眠をとれるように、適度に運動することなど生活に関するアドバイスも引き続き行っていく方針です。
 健康維持のベースとなる栄養管理については管理栄養士ときめ細かく実践していきます。

 睡眠障害の原因となっている疾患の薬物療法も含めて、薬剤師との連携は近隣薬局との情報交換が中心です。「透析患者さんは一般の患者さんに比べて薬を使うリスクが高い場合が多いので、なるべくかかりつけ薬局を持っていただくようおすすめし、その薬局と連携してリスクを軽減することに努めています」と、院長が透析患者の健康管理に心を砕く様子を語ります。

睡眠医療

透析患者の深刻な睡眠障害に対応するため2001年から独自に研究・治療

中尾茂樹日本睡眠学会認定検査技師

 三遠メディメイツの睡眠医療への取り組みは2001年から始まりました。もともと心臓血管外科医だった理事長が独自に研究し始めたのが最初です。「私はシャントの造設などから透析医療に携わるようになり、そのうちに透析患者さんには睡眠障害が非常に多いことに気づきました。特にSASと脚のぴくつきは高い頻度で見られます。これだけポピュラーな症状なのだから、透析施設では睡眠障害治療が行われているのだろうと思っていたら、意外にそうでもなかったのです。そこで自ら治療や研究に深くかかわるようになりました」と、睡眠医療に取り組むようになった経緯を振り返ります。

 理事長によれば、睡眠障害に悩む透析患者の中には、正式名ではない病名の診断を受けていたり、透析を続ける以上、脚の症状は治らないなどと、半ば見放されて悩んでいたりするケースがとても多いそうです。「治らないなら脚を切ってほしい、眠れない辛さを我慢するくらいなら死んだほうがまし、などと訴える人もいて、なんとか治してあげたいという気持ちでこれまできました」と思いを語ります。

 同クリニックでは現在、睡眠ポリグラフ検査(センサーや電極を用いて、睡眠時の脳波、眼球運動、筋肉の動きなどを測定)をはじめ、過眠症(ナルコレプシーなど)の診断に用いる反復睡眠潜時検査(MLST:Multiple SleepLatency Test)、覚醒能力を調べる覚醒維持検査(MWT:Maintenance of Wakefulness Test)、むずむず脚症候群などの診断に用いる下肢支持不動検査(SIT:Suggested Immobilization Test)など専門的な検査で睡眠障害の診断を行っています。「病棟には睡眠検査用のベッドが15床あり、部屋によっては日中も真っ暗にすることができます。私たちは隣接する睡眠解析室でモニタとカメラの画像で病室内を常に監視し、患者さんの行動やデータを見守っています」と睡眠医療認定検査技師の中尾茂樹は語ります。

 精密な検査によりSASと診断された人に脚の検査をすると痙攣が見つかる、むずむず脚症候群の人にポリグラフ検査をすると無呼吸が見つかるなど、いくつかの症状を併発していることも多く、脚のぴくつき、うつ症状を背景とした不眠なども含めて、透析患者の実に95%に何らかの睡眠障害が見られます。「こうした睡眠障害は世界的にも問題になっており、たとえばアメリカには当クリニックと同等かそれ以上の規模を持つ専門治療施設が何千軒もあります。そういう意味では日本の睡眠医療は遅れています」と理事長は指摘します。

 「高齢の患者さんは寝たいときに寝られるので眠気はそれほど問題になりませんが、仕事を持っている患者さんの日中の耐え難い眠気は大きな問題です。また、透析中に眠ってしまうと夜中に覚醒してしまったりして、本人は眠れないと訴えたりもします。いずれにせよ、背景にある睡眠障害をきちんと診断し、治療しなければ不眠やそれに伴う不調は良くなりません。さらに、ここで強く言いたいのは、SASは命にかかわる問題であるということです。SASは眠気を含めたQOLの問題と考えている人が医師を含めて多いのですが、SASによる窒息で亡くなるケースや心・脳血管障害を併発することも多く見られます。QOLも大事ですが、むしろ命を守るという観点から、SASの治療は重要なのです」と、SASを含めた睡眠障害が一般に思われているよりもはるかに深刻な疾患で、的確な対応が求められていることを理事長は強調します。

睡眠医療の実際

透析患者の64%がSAS
今後は全透析患者にスクリーニング検査を行う方針

 三遠メディメイツの3つの透析クリニック(磐田・豊橋・豊川)に通院する患者さんは合計約550名。この大半に睡眠障害がありますが、治療対象となる中等度(AHI=Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数<1時間あたりの無呼吸の回数>が15以上)かそれ以上のSASの人だけで64%もみえます。理事長の診断では、この99%は、先に触れたCPAP療法を行うことが望ましいですが、日本の場合、CPAP療法で保険適応となるのはAHIが20以上の患者に限られるため、実際の治療対象は40%程度となっています。さらに本人の理解度の問題もあり、CPAP療法を受けるに至る患者は治療が必要な人の3分の1から4分の1で推移しています。CPAP療法の対象にならない患者にはマウスピース療法を用いることもあります。

 三遠メディメイツでは睡眠医療に関して高い専門性を持つことから、鉄道会社や運輸会社の依頼で運転手の検査も大規模に実施しています。睡眠障害が見つかった場合は速やかに治療を行い、居眠り運転を防止するなど社会貢献にもつながっています。睡眠ポリグラフ検査の件数は、グループ全体で通算3万6,000件、中でも最も件数多い豊橋メイツ睡眠クリニックでは単独で年間2,200件ほど実施しています。こうした実績を評価し、いまでは全国から専門医療を求める患者さんが来院されています。

 「当法人で検査を受けた患者さんで、睡眠中の無呼吸の回数が最も多かった患者さんは、一晩7時間で1,485回、1時間あたり208回です。窒息が最もひどかった患者さんは1回の窒息時間が3分19秒。こうした患者さんの血液中の酸素濃度は標高8,000〜9,000メートルにいるのと同じ状態です。特に無呼吸が深刻なのは明け方のレム睡眠のとき。睡眠中の窒息死を防ぐためにもより広く、検査・治療を行うことが必要です」と呼びかけます。豊橋メイツ睡眠クリニックではすでに行っていますが、今後は「総合睡眠医療センター」を標榜する岡崎メイツ腎・睡眠クリニックでも全透析患者を対象に睡眠障害のスクリーニング検査を行っていく方針です。

施設_睡眠解析室 施設_モニタ画面
施設_睡眠障害検査用の個室 施設_睡眠検査用の個室
施設_過眠症検査対応検査室 施設_睡眠検査機器 施設_赤外線カメラ

今後の課題・展望

透析医療・睡眠医療併設の利点を活かし住民の健康づくりに貢献したい

 理事長は今後の課題について、2本柱である透析医療と睡眠医療の体制をより強化することを挙げています。そのためにも法人内スタッフをはじめとした医療関係者、一般市民、双方への啓発が重要と考えています。

 「繰り返しになりますが、睡眠障害を放置すると命にかかわることもあります。また、生活習慣病やうつなどの精神疾患の悪化にもつながります。そういったことを少しでも予防していきたい。岡崎メイツ腎・睡眠クリニックは当法人でも初めての、透析医療部門と睡眠医療部門の両方を持つ施設ですので、併設の利点を活かしながら、透析患者さんを含めた多くの市民の皆さんの健康づくりに貢献していきたいと思います」と、先駆者としての思いを語ります。

岡崎メイツ腎・睡眠クリニック

所在地:〒444-0071 愛知県岡崎市稲熊町2丁目86
代表電話番号:(0564)23-8511
睡眠専用ダイヤル:(0564)64-0509
診療科目:内科(睡眠障害)、腎臓内科、透析内科
開設:昭和52年6月(平成26年10月より岡崎メイツ腎・睡眠クリニック)
病床数:19床
透析ベッド数:72床(2019/8/22現在)

外来透析時間
※詳細についてのお問い合せは、電子メールまたはご来院ください。



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